百人一首
2010年7月10日土曜日
0025の美学
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり
来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ
風そよぐ ならの小川の 夕暮は みそぎぞ夏の しるしなりける
人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は
ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり
0024の美学
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣片敷き ひとりかも寝む
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ あまの小舟の 綱手かなしも
み吉野の 山の秋風 小夜ふけて ふるさと寒く 衣うつなり
おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣に 墨染の袖
0023の美学
嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな
村雨の 露もまだひぬ 槇の葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮
難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色はかはらず
0022の美学
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる
思ひわび さても命は あるものを 憂きに堪へぬは 涙なりけり
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
長らへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
よもすがら 物思ふころは 明けやらぬ 閨のひまさへ つれなかりけり
0021の美学
わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波
瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ
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